ガイドライン

住宅宿泊事業・管理業・仲介業・条例のポイント

ガイドライン全文(住宅宿泊事業法施行要領)

1.住宅宿泊事業者について

      1住宅の定義は、同一敷地内に「台所・浴室・便所・洗面所」あることです。
      2「浴室」には、浴槽が必須ではありません。
      3届出ができる住宅は、住居として使用中であることです。
      4入居者募集を継続することが原則です。
      5「民泊専用の新築投資用マンション」は、住居目的でないので届出ができません。
      6「住宅」とは1棟の建物である必要はありません。
      7届出部屋数が6部屋以上では管理業が必要です。
      81つの「住宅」を重複して届け出ることはできません。
      9届出で添付する官公署発行の書類は3カ月以内に発行されたものが必要です。
      10住宅の図面は「手書き」でも問題ありません。
      11区分所有マンションは管理組合の許可が必要です。
      12消防法適合通知書の提出が必要です。
      13宿泊者1人あたり3.3㎡以上の確保が必須です。
      14周辺住民への説明は「望ましい」です。
      15家主同居で50㎡以下なら非常用照明設備器具の設置は必要ありません。
      16火災保険や賠償責任保険の加入「望ましい」としています。
      17短時間でも日付を越えていないくても「1日」と数えます。
      18日数の数え方は、「人を宿泊させた日数」です。
      19宿泊拒否は出来ます。
      20シーツやカバーなどの交換は必須です。
      21外国人宿泊者に対しては外国語で必要事項の明示が必要です。
      22本人確認は「対面」もしくは「ICT活用の方法」であることです。
      23宿泊者名簿には「宿泊者全員」の記載が必須です。
      24周辺住民からの苦情には「深夜早朝問わず」対応が必須です。
      25民泊事業者が管理業務を委託する場合、委託先は「1業者」のみです。
      26標識掲示は門扉や玄関などが「望ましい」とあります。
      27年間180日を超えた場合は「旅館業法違反」となります。
      28「ラブホテルの用途」での貸し出しは厳格に取締りされます。

2.住宅宿泊管理業について

      1管理業者による「全部業務の再委託」は出来ませんが、「一部業務の再委託」は可能です。
      2一部業務の再委託先は「管理業者」である必要はありません。

3.住宅宿泊仲介業について

      届出番号を確認出来ない物件は仲介サイト(airbnb)から削除
      1仲介業者は「違法民泊」物件などの掲載を禁止されています。
      2民泊事業者にはサイト掲載登録時に届出番号などの入力必須です。
      3登録番号等が確認できないものは「非表示」に出来ます。
      4仲介業者は観光庁に掲載物件の宿泊日数などを報告しなければなりません。

4.民泊条例について

      1過度な「ゼロ日規制」条例は民泊新法の目的から逸脱としています。
      2「同居型」と「不在型」を区分しての条例制限は「不適切」であるとあります。

【ガイドライン詳細】

1.住宅宿泊事業者について
1-1住宅の定義は、同一敷地内に「台所・浴室・便所・洗面所」あることです。
  • 「離れ」はOK
  • 「銭湯」や「公衆トイレ」はNG
  • 「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」は同一の建物内に設けなくてもよく、例えば浴室のない「離れ」であっても同じ敷地内の「母屋」に浴室があれば、問題ありません。
  • 近くに銭湯などの公衆浴場があっても、「浴室」「便所」「洗面設備」の代替となりません。
1-2「浴室」には、浴槽が必須ではありません。
  • 「浴室」については、浴室内に「浴槽」がない場合でも、「シャワー」設備があれば問題ありません。
  • 「洗面」と「トイレ」が分れてなくても問題ありません。
1-3届出ができる住宅は、住居として使用中であることです。
  • 住居として使用されることが原則で、空室期間に民泊事業をすることです。
  • 「人の生活の本拠として使用されている家屋」
  • 「入居者の募集が行われている家屋」
1-4入居者募集を継続することが原則です。
  • 「入居者の募集が行われている家屋」は、民泊事業を行っている間、分譲・売却・賃貸向けに募集を行っている住居のことです。
1-5「民泊専用の新築投資用マンション」は、住居目的でないので届出ができません。
  • 「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」では、居住履歴が一切ない民泊専用の新築投資用マンションは該当しません。
  • 実際に該当する家屋の例として、
  • 「休日のみ生活しているセカンドハウス」
  • 「転勤により一時的に生活の本拠を移しているものの、将来的に再度居住の用に供するために所有している空き家」
  • 「相続により所有しているが、現在は常時居住しておらず、将来的に居住の用に供することを予定している空き家」
  • 「生活の本拠ではないが、別宅として使用している古民家」
1-6「住宅」とは1棟の建物である必要はありまえん。
  • 建物の一部分のみを「住宅」として届け出ることが可能です。
  • 5LDKであれば、5部屋で届出も出来ますし、1部屋でも出来ます。
1-7届出部屋数が6部屋以上では管理業が必要です。
  • 1棟内で6部屋以上届出した場合は、住宅宿泊事業の届出と管理業者への委託が必要となります。
1-8.1つの「住宅」を重複して届け出ることはできません。
  • 住宅は複数の事業者が重複して届け出ることはでません。
  • 一方で、住宅を複数の人が共同所有している場合は、連名で届出をすることも可能です。
1-9届出で添付する官公署発行の書類は3カ月以内に発行されたものが必要です。
  • 民泊事業者側が届出書に添付する書類は、官公署が証明する書類は発行から3カ月に発行されたものとしなければいけません。
  • 書類はコピー(写し)等は認められないとしています。
1-10住宅の図面は「手書き」でも問題ありません。
  • 届出する際に提出が必要な「住宅の図面」については、法律に規定されている必要事項が記載されていることを条件に、「手書きの図面であっても差し支えない」としています。
1-11区分所有マンションは管理組合の許可が必要です。
  • マンション等の集合住宅で民泊事業を行いたい場合は、「管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認したことを証する書類」が必要となります。
  • 「届出時点で住宅宿泊事業を禁止する方針が総会や理事会で決議されていない旨を確認した誓約書」
  • 「本法成立以降の総会及び理事会の議事録その他の管理組合に届出住宅において住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認したことを証明する書類」
1-12消防法適合通知書の提出が必要です。
  • 届出の際に「消防法令適合通知書」が必須です。
  • その理由については、「届出住宅が消防法令に適合していることを担保し、住宅宿泊事業の適正な運営を確保する目的」としている。
1-13宿泊者1人あたり3.3㎡以上の確保が必須です。
  • 居室の宿泊者1人あたりの床面積は「3.3 ㎡以上」が必要です。
  • 「宿泊者が占有する部分の面積を指す」としており、「台所、浴室、便所、洗面所、廊下のほか、押入れ、床の間」は含まれません。
1-14周辺住民への説明は「望ましい」です。
  • 届出を行う際の周辺住民への事前説明については「望ましい」という表現に留めています。
  • 宿泊者が近隣住民が特定の物件の届出の有無を確認するために、都道府県知事などが届出番号や住所を公表することも「望ましい」としています。
1-15家主同居で50㎡以下なら非常用照明設備器具の設置は必要ありません。
  • 家主同居型であり宿泊室の床面積が50㎡以下の場合は、一戸建てや共同住宅のいずれの形態でも、非常用照明器具の設置は必要ありません。
1-16火災保険や賠償責任保険の加入「望ましい」としています。
  • 民泊事業の届出を行う際には、事業者が火災保険や第三者に対する賠償責任保険などに加入することが「望ましい」としており、民泊事業者の義務としては課していません。
1-17短時間でも日付を越えていないくても「1日」と数えます。
  • 「宿泊料を受けて届出住宅に人を宿泊させた実績があるのであれば、短期間であるかどうか、日付を超えているかどうかは問わず、1日と算定される」としています。
1-18日数の数え方は、「人を宿泊させた日数」です。
  • 日数の数え方については「人を宿泊させた日数」であり、「募集した日数」ではありません。
1-19宿泊拒否は出来ます。
  • 差別や偏見に基づく宿泊拒否は出来ません。
  • 旅館業法では宿泊希望者を拒否することに対して制限を課しているが、住宅宿泊事業では課していません。
  • 「宿泊拒否の理由が差別的なものである場合や偏見に基づくものである場合は社会通念上、不適切となることもあるため留意することが必要である」としています。
1-20シーツやカバーなどの交換は必須です。
  • 寝具のシーツとカバーなどについては、宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと取り替える必要があります。
  • また設備は備品などは常に清潔な状態を保つ必要があるとし、「ダニやカビ等が発生しないよう除湿を心がけ、定期的に清掃、換気等を行うこととする」としている。
1-21外国人宿泊者に対しては外国語で必要事項の明示が必要です。
  • 外国人宿泊者の快適性や利便性の確保に向けて、「必要な事項が記載された書面を居室に備え付けること」や「タブレット端末への表示」などにより、「宿泊者が届出住宅に宿泊している間必要に応じて閲覧できる方法によることが望ましい」としている。
  • 「特に、災害時等の通報連絡先においては、緊急時にすみやかに確認することが可能なものを備え付けておくものとする」としています。
  • 「移動のための交通手段に関する情報」とは、最寄りの駅等の利便施設への経路と利用可能な交通機関に関する情報
  • 「火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内」とは、消防署や警察署、医療機関、住宅宿泊管理業者への連絡方法などの情報
1-22本人確認は「対面」もしくは「ICT活用の方法」であることです。
  • チェックイン時の本人確認について、「対面又は対面と同等の手段として以下のいずれも満たす ICT(情報通信技術)を活用した方法等により行われる必要です。
  • ICTを活用した方法で本人確認をする場合は「宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること」と「当該画像が住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者の営業所等、届出住宅内又は届出住宅の近傍から発信されていることが確認できること」を条件としている。
1-23宿泊者名簿には「宿泊者全員」の記載が必須です。
  • 宿泊者による宿泊者名簿への記載については、宿泊者全員を記載する必要があり、代表者のみの記載は認められません。
1-24周辺住民からの苦情には「深夜早朝問わず」対応が必須です。
  • 周辺地域の住民からの苦情や問い合わせについては、深夜早朝を問わず、常時、応対又は電話により対応する必要です。
1-25民泊事業者が管理業務を委託する場合、委託先は「1業者」のみです。
  • 住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する場合は、複数の者に分割して委託することや、住宅宿泊管理業務の一部を住宅宿泊事業者が自ら行うことは認められません。
1-26標識掲示は門扉や玄関などが「望ましい」とあります。
  • 標識は、届出住宅の門扉、玄関(建物の正面の入り口)等の、概ね地上 1.2 メートル以上 1.8 メートル以下で、公衆が認識しやすい位置に掲示することが望ましい」としています。
  • 標識については「ラミネート加工等の風雨に耐性のあるもので作成又は加工を施すことが望ましい」としています。
1-27年間180日を超えた場合は「旅館業法違反」となります。
  • 民泊事業者が180日を超えて人を民泊させ、旅館業の許可を取得していない場合は、「超過した宿泊分については旅館業法第3条第1項に違反することになる」としています。
1-28「ラブホテルの用途」での貸し出しは厳格に取締りされます。
  • 民泊新法ガイドラインでは、「時間貸しなどによって実質的にいわゆるラブホテルの用途として住宅宿泊事業が行われる場合」についても触れています。
2.住宅宿泊管理業について
2-1管理業者による「全部業務の再委託」は出来ませんが、「一部業務の再委託」は可能です。
  • 住宅宿泊管理業者が、住宅宿泊管理業務を一部に限り再委託することは出来ます。
  • 一方で、全ての管理業務を再委託するのは出来ません。
2-2一部業務の再委託先は「管理業者」である必要はありません。
  • 再委託先は住宅宿泊管理業者である必要はないとしています。
3.住宅宿泊仲介業について
3-1仲介業者は「違法民泊」物件などの掲載を禁止されています。
  • 「民泊仲介業者(Airbnbなど)」が、「明らかに虚偽と認められる届出番号を示している施設」「旅館業の無許可営業者による宿泊サービスを受けること」
  • 「売春防止法に違反するサービスの提供を受ける行為」の斡旋や便宜供与を行うことを禁止しています。
3-2民泊事業者にはサイト掲載登録時に届出番号などの入力必須です。
  • ガイドラインでは、仲介業者が違法民泊物件を掲載することを禁止しています。
  • 民泊新法や旅館業法、イベント民泊、特区民泊などの枠組みにおいて、施設名や届出番号などの確認を必須としています。
  • 民泊サイト上で「届出番号等の確認にあたっては、自社が運営する民泊仲介サイト上で、住宅宿泊事業者等から届出番号等を入力させ」る必要があります。
3-3登録番号等が確認できないものは「非表示」に出来ます。
  • 届出番号などの情報が確認できない場合は、民泊サイト上で該当する物件について非表示とするなどの電子的処理による方法も認めています。
  • マンスリーを混在させて民泊仲介サイトに表示させることは適切ではないため、別サイトにおいて管理することにしてます。
3-4仲介業者は観光庁に掲載物件の宿泊日数などを報告しなければなりません。
  • 仲介業者は観光庁に対して、
  • 「住宅宿泊事業者の商号名称又は氏名」
  • 「届出住宅の住所及び届出番号」
  • 「届出住宅において人を宿泊させた日数」について、毎年4月15日と10月15日までにそれぞれの月の前6カ月分を報告しなければなりません。
  • 住宅宿泊事業者は2カ月ごとに報告しなければなりません<。
4.民泊条例について
4-1過度な「ゼロ日規制」条例は民泊新法の目的から逸脱としています。
  • ガイドラインでは、民泊新法も目的が「住宅宿泊事業を適切な規制の下、振興するというもの」であると強調しています。
  • 地方自治体が制定する民泊条例について、条例によって年間全ての期間において住宅宿泊事業の実施を一律に制限し、年中制限することです。
4-2「同居型」と「不在型」を区分しての条例制限は「不適切」であるとあります。
  • 地方自治体が民泊条例を制定する際、家主不在型であっても、家主居住型と同様に事業の適正な運営の確保が図られていることから、
  • 家主居住型と家主不在型を区分して住宅宿泊事業の制限を行うことは適切ではない」としています。
  • 家主不在型であったとしても、管理業者の委託などにより適正な運営が図られることを根拠としています。

今国会スケジュール

11月27~28日
衆議院で予算委員会

11月29~30日
参議院で予算委員会

12月1日~8日
衆参で旅館業法改正案など法案審議
衆議院厚生労働委員会で審議入り
   ↓
衆議院厚生労働委員会で可決
参議院厚生労働委員会審議・可決
   ↓
衆議院本会議で採決
参議院本会議で採決
   ↓
12月9日
会期末

民泊新法スケジュール
2017年6月9日
法案可決・成立

2017年6月16日に新法公布 施行日を定める政令制定

本則施行日が確定
準備施行日が決定
*施行日が確定すれば全体のスケジュールが確定します。

法に関する政令・省令制定
(具体的な基準が示される)
2017年10月24日に法施行令公布 ↓
2017年12月に旅館業法改正案2017年12月成立、民泊無許可営業罰則強化

ガイドラインの制定
(具体的な基準等が示される)
ガイドライン全文(住宅宿泊事業法施行要領)PDF

各都道府県で条例検討

各地方議会で採決
地方議会毎に開催日程があるので、注意して下さい。

条例制定

周知
  ↓
2018年3月15日届出申請
原則マイナンバー(個人番号)カードによる電子認証
当面は届け出画面を印刷して押印し、登記事項証明書や住民票の写しの原本とともに郵送

民泊制度ポータルサイト登録開始

2018年6月15日施行
6月15日施行日までに届出番号を確認出来ない物件は仲介サイト(airbnb)から削除
住宅宿泊事業法施行・住宅宿泊事業スタート
観光・国税・消防庁は民泊事業者の情報共有

全国解禁
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