グリーンツーリズム

大分県は都会の住民が農漁村の生活を体験するグリーンツーリズムの人気拡大を受け、客を泊める農家に必要な旅館業法の許可取得手続きを見直す。
修学旅行など教育旅行を中心に需要が伸びる一方、受け入れ農家が足りずに断るケースも出ている。このため同県は近く参入時の手続きを簡略化する。
多くの農家に農村民泊を試してもらい、宿泊客を受け入れる農家の増加につながることを期待している。
農村民泊の経験がない農家の間には「一度試してから、本格的に取り組むかどうか決めたい」との声が多く、 そうした農家にとって現行の手続きは煩雑でハードルが高かった。
そこで大分県は、宿泊客を試しに受け入れる農家を、旅館業法の「特定の季節に限り営業する施設」に位置づけ、 スキー場や海水浴場などの宿泊施設と同様に扱うことにした。
この季節営業の許可で営業できるのは4カ月に限られるが、申請手続きが簡単で、 消防法や建築基準法に基づく添付書類は不要。手数料も7000円(通常は2万2000円)で済む。
4カ月の経験を踏まえ、その後も継続して取り組む意欲のある農家には従来の手続きで再申請してもらう。
大分県は最初の手続きのハードルを下げることで農家の新規参入が増え、農村民泊の受け入れ能力拡大につながるとみている。
農村民泊は大分県が2002年に全国で初めて旅館業法や食品衛生法の運用規制を緩和したことで農家が客を泊めやすくなり、急速に広がった。
同県内の農村民泊の宿泊者数は03年度の3400人から10年度には1万8694人に増加。
この間、特に学校の教育旅行の宿泊者が444人から1万2663人に急増している。
ただ、関係者によると「受け入れ能力が需要の拡大に追いつかず、客を他県に逃している」という。
「大分方式」の規制緩和に追随した長崎県や、教育旅行の料金を「宿泊ではなく体験学習の対価」と位置づけ、 旅館業法の許可なしで農家での宿泊を認める鹿児島県などで受け入れ数が急増している。
このため大分県内のグリーンツーリズム推進団体が県に一層の規制緩和を要望していた。
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