ワタベはホテルに活路

「なし婚率」3割時代

ウエディング最大手のワタベウェディングがホテル事業に活路を見いだしている。
背景にあるのは「なし婚派」の増加だ。今や結婚したカップルの3分の1が挙式も披露宴もしない時代。
少子高齢化と若者の意識変化のなかでウエディング業界がもがいている。
■結婚件数は1.4%減
「婚礼件数が減少するなか、宿泊や宴会が収益を穴埋めしている」。25日に都内で開いたワタベの決算説明会。花房伸晃社長はこう強調してみせた。
ウエディング事業を取り巻く環境は厳しい。未婚化や晩婚化を背景に、2015年に結婚したカップルは約63万5000組と前年比1.4%減った。
追い打ちをかけるのが「なし婚派」の台頭だ。
リクルートブライダル総研が2015年度に結婚したカップルを対象に実施した調査によると、 挙式も披露宴もしなかったカップルの比率は32%と調査開始以来、最も高くなった。
段取りや準備が面倒で、式にかけるお金ももったいない――。そんな「なし婚3割時代」をウエディング業界はどう生き残るのか。
もともと、国内ウエディング事業の強化に向けて、式を挙げたカップルや親族が宿泊できる施設を整えてきたワタベ。
2004年には宿泊施設を伴う結婚式場の「目黒雅叙園」を、08年には日本郵政が持っていた総合宿泊施設の「メルパルク」を傘下に収めた。
■2017年3月までに60室に
そこに訪れたのが訪日観光ブーム。
都内を中心に宿泊施設の不足感が強まっている。
特に目黒雅叙園は東京都指定有形文化財の木造建築を抱え、長らく目黒のランドマークとして知られてきたブランド力もある。
9月には、これまで婚礼などに使っていた7階を改装して客室24室を新たに稼働。
平均の宿泊料金は3万7000~3万8000円と安くはないが、稼働率は82~83%と好調だ。
2017年3月までには「部屋数を60室に増やし、2020年までの需要に応える」と花房社長は意気込む。
改装では客室のカーペットの柄に麻の葉を使用したり、寝室の壁紙に柿渋で染めた和紙を使ったりと高級感を意識しているという。v 全室スイートルーム仕様で「都内の一流ホテルに引けを取らない」と花房社長は自信をみせる。
ホテル業に力を入れるのはワタベだけではない。
業界最大手のテイクアンドギヴ・ニーズも2017年5月末に東京・渋谷区でホテルを開業する計画を進める。
2025年までには首都圏を中心に10カ所のホテルを稼働させる構えだ。外国人の利用を見込み、 日本文化を学んだり職業体験をしたりする体験イベントも検討している。
■ホテルの供給過剰懸念もv とはいえ、2020年の東京五輪を控えて都内ではホテルの新設や改装が相次いでいる。
ホテル業界内での競争も激しくなっており、一部のホテルは割安プランの提供などで稼働率を維持しているのが現状だ。20年以降は供給過剰も懸念される。
豪華なドレスやアルバム制作など充実したサービスを提供して単価を引き上げ、挙式数の落ち込みを補ってきたウエディング業界。
ホテル事業の強化は確かに収益基盤を支えるだろうが、長続きする保証はない。本来の強みを発揮する上で「なし婚派」を引き戻す戦略も求められる。
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