ホテルの建築緩和

東京都渋谷区は10月からホテルの建築規制を見直す。
2006年に区が制定したラブホテルの建設を抑える条例が、ビジネスホテルなどの開発も妨げているため、一部の規定を緩和する。
区内のホテル建設を後押しし、20年の東京五輪に向け、急増する訪日外国人(インバウンド)の受け入れ体制を強化する。
「渋谷区ラブホテル建築規制条例」の改正は6月に区議会で可決した。10月1日に施行する。
改正条例ではフロントやロビーの設置階や、ダブルベッドを備えた客室数などの条件を見直す。
改正前の条例では区内でホテルを建設する場合、フロントやロビーを1階に置く必要があったが、階数についての規定を削除する。
近年はオフィスビルにテナントとして入居するホテルも多く、フロントやロビーを中層階に置く場合もある。この規定があるために、区内ではオフィスビルと一体型のホテル開発が難しかったという。
客室の要件も緩和する。
改正前の条例では幅1.4メートル以上のダブルベッドを備えた客室の数を全体の5分の1以下にする必要があった。
改正後の条例では、客室数が100室以上の中・大規模ホテルについてはこの規定の対象から外す。
区が調べたところ、区内に70~80軒あるラブホテルの客室数は最大でも80室程度で、100室以上のホテルの規制を緩和しても支障はないと判断した。
一方、今回の条例改正では、客が従業員と会わずに料金を支払えるホテルの建設を認めないなど、ラブホテルが増えないようにする規制も加えた。
区は円山町などに集中するラブホテルの新規出店を抑えるため、06年に条例を制定したが、同条例の規制のためにビジネスホテルなどの建設も難しくなっていた。
区によると、条例が施行された06年12月以降、区内で建設されたホテルは8件にとどまる。
ただ最近ではインバウンドの急増により、ホテル開発のニーズが高まっている。
区の担当者は「ホテル開発を検討する企業から条例の規定に対する問い合わせが毎日ある」と話す。
20年東京五輪の開催が決まった頃から増え始めたといい、条例を改正して対応することにした。
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