民泊が影響

中国の大型連休である春節(旧正月)の東京・大阪でのホテル宿泊料金が、前年に比べて1~3割低下したことがわかった。
インバウンド(訪日外国人)は増え続けているが、空き家などに旅行者を有料で泊める「民泊」の台頭が影響しているとみられる。
日本国内のホテル料金は2015年に10%以上高くなったが、16年は一転、値下げに踏み切るホテルが目立った。
17年の動向を見据えるうえで、需要期である春節の料金が注目を集めていた。
カカクコムが運営する宿泊予約サイト「ヨヤキュードットコム」によると、1月27日~2月2日のホテル平均料金は都内が1万657円と13%低下。
大阪府内では26%減の1万193円とさらに落ち込みが目立った。
近鉄・都ホテルズの矢尾弘執行役員は「民泊の影響が想定以上に大きくなっている」と話す。
大阪観光局の調査によると、大阪に来る外国人観光客のうち57%がホテルに泊まる一方、17%が民泊を利用するという。
訪日客は多人数で旅行することが多く、1部屋に大勢が泊まれて割安な民泊に流れがちだ。
大阪新阪急ホテルは2割弱、ANAクラウンプラザホテル大阪も1割弱下がった。
値下げにより春節中の稼働率が上昇、あるいは前年並みを確保したホテルが多かった。
ホテルニューオータニ(東京・千代田)では海外からの個人旅行客向け宿泊料金を平均で2万1千円と約1割下げた。
16年は強気の料金設定だったが想定通りの集客ができず、17年は戦略を見直した。春節の稼働率は64%と0.7ポイント上昇した。
民泊分析会社の「はりうす」(東京・渋谷)によると、民泊仲介サイト「エアビーアンドビー」の掲載件数はすでに都内が1万6千超、大阪府内は1万2千超に上る 中国の民泊大手、途家(トゥージア)の日本進出も明らかになった。民泊によって日本の宿泊需給が緩むことは、今後も各ホテルの戦略に影響を与えそうだ。
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