エアビー新法に対応

180日宿泊数の計算方法※Airbnbエアビーの1ヶ月は30日
民泊仲介大手の米エアビーアンドビーは、政府が今国会に提出予定の民泊新法を見据え、適正な運営対策に乗り出す。
仲介サイトに新機能を加えることが柱。
年間営業日数の制限については、上限を超えた物件はサイト上に表示できなくする仕組みを導入する方針。
同社の仲介サイトを使った訪日客の数は年間約370万人に達している。新法に対応し、民泊の普及を後押ししたい考えだ。
民泊は、旅行者に対して戸建て住宅やマンションの空き部屋を有料で貸し出すサービス。
旅館業法の要件を満たす場合や特区を活用するケースに限られる。
政府は規制緩和により、年間営業日数の上限を180日とするなど、条件付きながら全国で民泊を解禁する法案を今国会に提出する予定だ。
旅館業界の反発などで法整備が難航するなか、現実には訪日客などを中心に民泊の利用が広がっている。
2016年に日本での宿泊で、エアビーアンドビーを使った訪日客の数は約370万人に達した。
日本政府観光局によると、16年の訪日客は2400万人超。訪日客の1割以上が同社のサービスを使った可能性がある。
新法案の提出が見込まれる中、エアビーアンドビーは、新たな規制や部屋の貸し手に求められる要件に対応できるように準備を始めた。
実施時期は新法の審議状況を見極めて判断する。
まず年間営業日数の制限に対しては、システムで貸し出し日数を自動的に管理し、上限を超えた物件は仲介サイト上で借り手が見られないようにする。
オランダのアムステルダム市では16年12月から同様の機能を採用している。同市では住宅をまるごと貸し出す場合、年間60日までという制限がある。
国や自治体との合意が前提となるが、同社が宿泊税の回収や納付を代行する仕組みも検討中だ。
米シカゴ市では、貸し手として行政に登録する際、自治体のシステムと連携し新規登録を支援している。
同様の仕組みが日本で導入できないかも検討している。
エアビーアンドビーは08年創業。世界約191カ国・地域、6万5000以上の都市でサービスを提供しており、登録物件数は300万を超えた。
日本では、約4万8000件の物件を抱えており、最近では訪日客だけでなく、日本人の利用も増えているという。
政府は規制改革の一環として民泊を全国的に解禁する方針だが、現在は東京都大田区など特区を活用する場合を除けば、旅館業法で定める「簡易宿所」の許可が必要。
現実にはこうした基準を満たさないグレーな民泊もあるとされる。
エアビーアンドビーは新法に対応していく考えだが、適正な民泊運営が広がるには、仲介業者の横断的な取り組みも求められる。
営業日数の制限ひとつとっても、貸し手が他の民泊サービスを通じて何日貸し出したかまで確認するのは難しい。業界単位で解決すべき課題はなお残りそうだ。
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