地域の実情を反映した民泊の実現を求める意見書
平成27年12月11日
我が国の人口は平成20年をピークとして既に減少に転じているが、平成25年度の国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、
世帯数の減少が今から4年後の平成31年から始まるとされる。
それに伴い、土地や建物の居住ニーズは構造的に減少すると想定されるため、これらの新しい活用法を創生することは、
個人資産を守るだけではなく、市町村税収の約4割を占める固定資産税収を維持するためにも必要な取組である。
一方で、円安等を理由とした訪日外国人旅行者は急激に増加し、政府目標の2,000万人が射程に入るほどの状況にある。
ホテルは過去最高の客室稼働率を記録し、空室不足との声も聞かれる。
このような状況に対応するため、昨年4月には、国家戦略特別区域法における旅館業法の特例が施行され、
該当区域で条例を制定すれば、空き部屋や空き家を宿泊施設、いわゆる「民泊」として提供できるようになった。
ただし、使用期間が7~10日の範囲内で都道府県等が定める期間以上、また、提供する居室は原則として床面積25平方メートル以上となっている。
民泊は、更なるインバウンドを呼び込むだけでなく、郡部の宿泊観光の受け皿にもなるなど、地方創生にも資する可能性がある。
よって、国におかれては、特例で民泊を認めることとなった自治体での先行事例の検証、風紀の維持、衛生状態の確保のほか、
犯罪・テロ等の懸念に対応する安全性の担保など、
ルール化について慎重に議論を積み重ねた上で、地域の実情を反映した実用的な民泊制度の実現に取り組まれるよう強く要望する。