毎日新聞
2016年3月29日
住宅の空き室などに旅行客を有料で泊める「民泊」を巡り、東京都台東区議会は29日、
営業時間内は従業員を常駐させることなどの条件を課す区の旅館業法施行条例改正案を議員提案し、
全会一致で可決した。国が4月から民泊営業を認める規制緩和を「時期尚早」とし、独自に条件を付ける。
改正案の可決で、区内での民泊営業は極めて困難になる見通しだ。
外国人観光客の増加で宿泊施設が不足していることを受け、国は4月から、
都道府県などの許可を得た民泊を法律上の「簡易宿所」と位置づけ、営業を認める方針。
旅館業法施行令の緩和で客室面積の制限を引き下げ、フロントの設置義務も一部免除する。
これにより、現在は違法なマンションのワンルームを使った営業などにも道を開く。
一方で、宿泊する外国人観光客と近隣住民とのトラブルも懸念されており、区によると既に、
無許可の民泊でごみ出しの方法や騒音などでトラブルが相次いでいるという。
浅草寺や上野公園など日本有数の観光地を擁する区には、年間約4500万人の観光客が訪れる。
規制緩和で民泊も増える可能性が高かったが、区議会は、先行して民泊条例を施行している大田区などの課題を検討した上で緩和の可否を決めるべきだとし、
従来の宿泊施設条件を維持するよう条例改正した。
改正では、宿泊者の就寝中を含む営業時間内は従業員を常駐させることや、玄関帳場かそれに準じる設備の設置を宿泊施設に義務づける。
これにより、区内ではワンルームや一軒家の貸し出しなどの民泊営業はできなくなる。
提案理由について、和泉浩司区議(自民)は「民泊そのものに反対ではない。だれもが安心して訪れることができる区にするためだ」と説明した。