地域の実情に配慮した民泊制度の実現を求める意見書(案)
平成28年10月3日
近年の日本への外国人旅行者の増加等とともに、都市部において不足している宿泊施設の補完的受け皿として「民泊」を希望する声が高まっている。
この状況を受け、厚生労働省と観光庁では、「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」での議論を踏まえた検討が進められており、
本年6月2日に閣議決定された規制改革実施計画においては、住宅地でも一定の条件を満たせば営業を認めて本格的に解禁する方針が示され、
平成28年度中に法案を提出することとされた。
一方、「民泊」に対しては「旅館業法」に照らした規制が十分でない状況にあり、
「どこに、誰を、どれくらい泊め、収入はどれくらいあるのか」把握が困難な状況にある。
そのため、例えば、感染症が起きてもその感染経路等の調査が困難となる、
あるいは違法薬物の販売・使用の温床となったり消費税等諸税の不適切な取扱いが行われるなど、
社会の安寧を維持する上で懸念される課題を有している。
さらに、既存の法に基づいて旅館業を営むホテル、旅館などの営業を圧迫しているとの指摘もなされている。
本格的に解禁されることにより、こうした問題の拡大や、宿泊者の確認体制や提供される住宅の消防・衛生設備の不備、
旅館業法に基づく既存の旅館やホテルとの間で不公平な競争などがさらに顕在化することも想定される。
よって、政府及び国会におかれては、新たに構築される民泊制度を、近隣住民の不安解消や、
宿泊者の安全・安心の確保、旅館業法に基づく既存業態との公平な競争への配慮などのために、
地域の実情に応じて、適切な規制ができる制度とすることを強く要望する。