地域の状況に応じて運用できる「民泊」法制化を求める意見書
平成28年9月27日
本年六月に閣議決定された規制改革実施計画及び有識者による「民泊サービス」のあり方に関する検討会最終報告書において、
民泊は、住宅を活用した宿泊サービスであり、ホテル・旅館を対象とする既存の旅館業法とは別の法制度として整備することが明記された。
宿泊事業者は、利用者の安心・安全、地域住民との共生、テロ対策、防犯などについて、関係行政庁の指導の下、旅館業法等の関係法令を遵守している。
一方、現行では、民泊を反復継続して行う場合、旅館業法の許可が必要であるが、取り締まりが徹底されておらず、周辺住民とのトラブルが多発している。
また、公衆衛生や火災、防犯上の問題、さらには責任の所在が曖昧であるなどの問題が顕在化している。
とりわけ、地域においては、安心・安全のため、それぞれの住環境に即した規制を住民が構築している。
国は、シェアリング・エコノミーの経済効果や利用者の利便性を重視しているが、それぞれ違った住環境にある住宅地や共同住宅において実施される民泊は、
本県のグリーンツーリズムのように、地域住民の実態を踏まえ地域みずからが主体的に取り組むべき問題である。
観光立国推進基本法においても、地域における創意工夫を生かした主体的な取組を尊重しつつ、
地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の持続的な発展を通じて、
国内外からの観光旅行を促進することが基本理念の冒頭にうたわれている。
よって、国会及び政府におかれては、規制改革実施計画に基づく民泊の法制化に当たっては、地域の実情に応じた運用を認めるものとするよう強く要望する。