民泊のあり方に関する意見書
平成28年7月6日
民泊を推進するに当たっては、宿泊者の安全確保等を大前提とした新たな制度体系を構築するよう強く要望する。
【理由】
訪日外国人旅行者が急増している中、国家戦略特別区域法における旅館業法の特例が施行され、大阪府及び東京都大田区では条例の制定により、
一定の条件の下、民泊を旅館業法の適用から除外することが認められることになった。
民泊は都市部において不足している宿泊施設の補完的受け皿のほか、
本県においては、ラグビーワールドカップ2019や2020東京オリンピック・パラリンピックにより増加が見込まれるインバウンドの受け皿の選択肢の一つとして、
地域経済の活性化に効果があると期待される反面、多くの課題があることも事実である。
既にインターネットによる仲介サービスを使い、空き部屋をホテルのように貸し出す民泊は急増しており、
ゴミ問題や騒音等により近隣住民とのトラブルも多く発生している。
厚生労働省と観光庁の有識者会議である民泊サービスのあり方に関する検討会がとりまとめた最終報告書では、
民泊を、住宅を活用した宿泊サービスの提供と位置付け、年間提供日数上限による制限のもとに、旅館業法とは別の法制度とすることが適当としており、
制度の枠組みとして「家主居住型」と「家主不在型」を区別した上で、住宅提供者、管理者、仲介業者に対する適切な規制を課すことを提案している。
そもそも民泊とは家主居住の経営を原則とすべきであり、宿泊者の安全や公衆衛生の確保が担保されていなければならないものと考える。
よって、国においては、民泊を推進するに当たって、次の事項に取り組むよう強く要望する。
1 宿泊者の安全確保、犯罪やテロ等の防止、近隣住民とのトラブル防止を大前提とし、海外の事業者を含む仲介業者に対する規制策、
既存の宿泊施設との公正な競争の確保策を組み入れた新たな制度体系を構築すること。
2 新たな制度体系により民泊を認めていく場合には、宿泊施設の経営者等に対する検査、指導監督権限を強化すること。
3 新たな制度体系により、グリーン・ツーリズムなど現在行われている取組に弊害が及ばないようにすること。