平成28年3月23日
「民泊」とは、個人が所有するマンションや一軒家などの部屋を宿泊場所として提供し、その代価を受け取る旅館業の行為をいう。
近年、日本への外国人旅行者の増加に伴い、「民泊」を希望する旅行者も増えている。
また、国内の主要都市ではコンサートやイベント等の開催時、ホテルが不足するということで「民泊」の活用が言われている。
しかし、「民泊」利用者の増加に伴い、ゴミ等のポイ捨て、器物破損、深夜・早朝でも大声で騒ぐなどといったトラブルも発生しており、
また、京都府では「旅館業法」違反で旅行業に携わる者が告発されるといった事例も発生するなど、「民泊」は大きな社会的課題となっている。
現在、「民泊」に対しては「旅館業法」に照らした規制が十分でない状況にあり、「どこに、誰を、
どれくらい泊め、収入はどれくらいあるのか」把握が困難な状況にある。
そのため、感染症が起きてもその感染経路等の調査が困難となる、買売春や違法薬物の販売・使用の温床になるといった、
社会の安寧を維持する上で懸念される課題もある。
また、既存の法に基づいて旅館業を営むホテル、旅館などの営業を圧迫していることも指摘されている。
こうした「民泊」の実態を受け、厚生労働省と観光庁は本年1月12日、
「民泊」のあり方を議論する「有識者会議」を開き、宿泊場所の提供者に対して
「旅館業法」の「簡易宿所」の営業許可を取得
させる方針を示すとともに、「旅館業法」の許可を取りやすくするため、一部規制緩和を図るなどの検討を進め、
本年3月の中間報告に盛り込む予定となっている。
よって、政府におかれては、「民泊」の利用に関する適切な規制と緩和措置の早急な提示について、次の措置を講じるよう強く求める。
マンション等集合住宅、一軒家などの個人住宅を「民泊」として使用する場合においては、業を営もうとする者に対しての
「旅館業法」の営業許可取得等に係る規制緩和を進めるとともに、衛生管理や宿泊者名簿の義務付けなど旅館業の管理の徹底、
「消防法」や「建築基準法」の適用、税務申告、各種国内法や基準等の遵守など、国として明確な指針を示すこと。