増える社会人の有料自習室

資格取得熱で需要見込む

東京都内、空きオフィスの多さも背景


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東京都内で社会人向けに有料自習室を開設する動きが広がっている。
雇用環境が厳しさを増す中、資格取得を目指して勉強する社会人が出勤前や退勤後に利用することを想定し、 池袋や秋葉原などオフィス街や繁華街での開設が目立つ。
都心のオフィス空室率は高水準にあり、開設に大きな設備投資は不要であるという点も新ビジネスを後押ししているようだ。
自習室「勉強カフェ」を運営するブックマークス(東京・渋谷)は今月中旬、東京・秋葉原に自習室を開業した。
自習席は18席。「モーニング会員」は月額7千円で平日午前7~10時、土日祝日の同9時~正午の時間帯に自由に使える。
同社の自習室は北参道に続き2店目となる。
店舗にはラウンジや会議室もあり、利用者同士の情報交換や自発的な勉強会に使える。
同社は「出勤前や帰宅前に勉強したい社会人の利用を見込む」と説明する。
ファイル大手のキングジムは今夏、池袋駅から歩いて約10分の場所に第1号の自習室「アカデミーラウンジ」を開設した。
座席数は約50席で、持ち込みのパソコンが使えるよう無線LANの設備も用意した。
平日午前7時半~9時と午後6~11時の間は自由に使えるプランの利用料は月額8190円。
平日午前7時半~午後5時半のプランもあり、営業回りの途中に立ち寄って仕事をする会社員もいるという。
30歳代の男性会社員は資格を取るため、通勤途中の池袋にあるこの自習室を利用している。
「家に小さい子どもがいて勉強しにくく、平日夜はほとんど毎日通っている」。
同社によると、都内の有料自習室は現在50カ所程度あるが、需要が伸びるとみて、3年後に首都圏を中心に17店舗に出店を拡大する計画だ。
都心のオフィスビルの空室率が高いことも、自習室の開設には追い風になっている。
オフィスビル仲介大手の三鬼商事(同・中央)によると、東京都心5区の9月末の平均空室率は9.01%。前月からわずかに改善したが、依然高水準にある。
自習室は机を並べた部屋と受付という設計が基本で、開設が比較的容易だ。
「内装の変更や建物を汚すことが少ないため、ビルの持ち主も貸しやすい」(キングジム)自習室の利用者を狙ったサービスに乗り出す企業も現れた。
東京リーガルマインド(LEC、同・千代田)は日本エムティエム(同・中央)と提携し、同社の東京・八重洲の自習室「グランデスク東京」で、 LECの生徒が司法書士などの資格講義を録画したDVDで閲覧できる席を9席設置した。
受講申し込みも同自習室で受け付けて、資格取得を目指す利用者を取り込む。